夜の蝶−麗蝶−
「愛こそ、彼氏いないの?」
「いないよ」
彼氏なんているわけないじゃない…
私はあんたが好きなんだから。
「好きな奴…は?」
好きな人…この質問くらいは素直になってもいいかな。
「…いるよ」
「うん、だよね」
…は?
「だよね…って、意味わかんない」
「わかんなくていいよ。そのうちわからせてあげるから」
本当にこの人ってよくわかんない。
そして、私たちは眠くなり、寝室のダブルベッドに二人で眠った。
毎回隼人は私を抱き枕にしながら眠る。
隼人に抱きしめられると安心するから、よく眠れる。
それと、私たちはヤッていない。
ただ、抱き枕にされながら眠るだけ。
* * *
朝、まだ眠っている隼人の腕をどけ、気づかれないように頬にキスをしてから朝食の準備をした。
朝食をテーブルへ運び、少しテレビを見ていると隼人が起きてきた。
「おはよ、隼人」
「はよ…」
眠たそうに目を擦りながら後ろから私を抱きしめた。
「よく抱きつくね」
「愛に抱きつくと安心できるし」
はぁ…わざと私が嬉しがるようなこと言ってる?それとも無意識?
まぁ、ホストだから口うまいよね。
うん、そうだ。ホストだからね。
でも…もしかしたら私のこと好き…だったり?
でも違うかも…
こんな馬鹿みたいなことを考えていると、隼人がニコニコしながら私の顔を覗き込んでいた。
「…なに?」
「愛可愛い」
−ドキッ
あぁ…もうなんなの?
絶対わざとだよね。