私、婚活します!
「咲子さん、行きましょう!」


慌しく腕を引っ張られる。


合コン会場のレストランに着くと、遅れてお医者様×2が登場。


「はじめまして!私、亜由美23歳ですっ」


ドリンクを注文すると、さっそく自己紹介が始まる。


「私は、咲子です」


「僕は、真治」


「明弘です。よろしく」



顔はいい。


話し方も上品。



知らず知らずのうちに、咲子も男性を見る。



「咲子さん、美人ですよね。趣味はなに?」


向かい側の明弘さんに聞かれ、ギクッとする。



「しゅ、趣味は……バイオリンを、少々……ふふふ」


「へー!すごいですねー。美人のバイオリニストだ!」


(ふふ……ふ……)


「曲は、やっぱり難しいのを弾くのかな?バロックとか」


「バ、バロ……えぇ」


曖昧に返事をする、綺麗なお姉さん咲子(25)



(キラキラ星しか弾けません)



「咲子さんのバイオリン、聴いてみたいなぁ……。趣味だと、やっぱりいつも弾いてるんだよね」


(最後に弾いたのは、小4ですけどね)


「今度聴かせてね」


「えぇ」


(キラキラ星をですか?)



笑いが引きつるほどの、愛想笑いのカリスマ咲子(25)







「では、また」




それぞれ盛り上がり、お開きになった。





「咲子さん、今日はありがとうございました」


亜由美と別れ、帰宅前に行きつけのバーに寄る。



行きつけ、と聞くとかっこいいけれど、実は知り合いの経営するバー。



半、常連。




ドアを引くと、カランと小気味のいい音が鳴る。


「おぉ、咲子いらっしゃい」


「おう」


出てきたのは、高校の同級生、翔。


サラサラだった髪に、緩いパーマを当て、少し明るく染めている。


咲子曰く、色気づいた爽やか青年。



このバーにも、翔目当てのお客さんもいる。









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