私、婚活します!
「ヤバイんだよ……ヤバイよ」
蒸しタオルを顔にあててみたり、むくみがとれるように、ひたすら祈る。
努力の甲斐あってか、少し腫れが引いた。
薄く化粧をし、気分転換に、人気があって行きたかったショップに行こうと準備をする。
「あ、あの雑誌に載ってたバッグあるかな」
お岩さんを忘れ、少しずつウキウキしてくる。
ショッピングは、どうして楽しい気分になるんだろう。
お岩さんだった単純咲子(25)
今は気分良く鼻歌をうたう。
「出発進行ぉー!」
ハンドバッグを振り回し、勢いよく家を飛び出す。
ショップに着くまで、何を買おうか頭の中であれこれと悩む。
「ワンピースも欲しいし、秋冬物のニットも欲しいなぁ……」
そんなことを思っていると、トントンと肩を叩かれる。
「すみません……少しよろしいですか?」
「は?」
振り向くと、無精髭で黒いロングヘアーのお兄さんが「やっぱり」と笑う。
「私、働く女性向け雑誌、nobilityの編集に携わっております、高藤と申します」
手際良く名刺を差し出され、貰う気もないまま受け取る。
「普段は、どんな雑誌をお読みですか?」
高藤は、ニコニコと質問を投げ掛ける。
「あ……nobilityですけど」
咲子も、愛読していることを伝えると、彼もまた、にぱぁっと笑顔を輝かせる。
「良かったー。実は、貴女にモデルをお願いしたいんです」
は?と、もう1度聞き返す。