私、婚活します!
「モ、モデル?」


確認すると、また、大きく頷かれる。


「はぁい。ぜひ、貴女のような綺麗なお姉さんにお願いしたい」


うんうんと頷くお兄さんに、咲子はポカンとする。


「いやぁ、お姉さん美人だから!あ、時間あります?」


「少しなら……」


まだ彼に心を開いていない咲子は、控えめに頷く。


「良かった!モデルの件は、もう少し考えていただいて大丈夫なので、これからお茶しに行きません?」


「はい?」


無精髭の割に、ニコニコと笑うお兄さんは、少年のようだった。


「まぁ……もう少し雑誌の件も、お話も聞きたいし、人が多い所でなら」


「あ、お姉さん警戒してるねぇ」


無精髭のチャラ男、もとい、高藤さんは、おしゃれで有名なカフェを提案する。



「分かりました。そこで」



咲子も、初めて笑顔を見せる。



カフェの扉を開けると、長い腰巻きエプロンをした男の人が『いらっしゃいませ』とお辞儀をする。


席に着くと、高藤さんはランチメニューを選ぶ。


「え、ご飯ですか?」


「えぇ、もうお腹空いちゃいまして」


えへへと笑う彼に、咲子もふふふと笑う。


「では、私もご一緒してもいいですか?」


「もちろんですよ」


2人でランチセットを注文し、また雑談をする。


「高藤さんは、おいくつなんですか?」


「僕ですか?28ですよ」


また少年のように笑う。


その笑顔に、少しだけ咲子の胸がトクンと鳴る。


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