【長編】Milk Tea



「はぁい。どちら様ですか」



そう言ってドアを開けると、あたしは固まった。



「尚……」



顔が引きつるのが分かる。



ヤバイ……泣きそう。



堪えられなくなったあたしは玄関のドアを閉めようとした。



するとそれを尚の手によって止められた。



「おい。何で俺じゃなくて成月に連絡したんだよ」



その表情はすごく怒ってる。



あたしは一瞬怯んだけど視線を逸らした。



「別に理由なんてないよ。具合が悪いのそっとしといてよ」



そう言ってまたドアを閉めようとする。



「お前……何で泣いたんだよ」



潤んできて視界がぼやけてるのが分かる。



ホントはこんな会話をしたいんじゃない。



ホントは……仲良くしてたいだけなのに。



昨日の後ろ姿を見てしまったせいでもう前みたいに戻れなくなっちゃったんだ。



「泣いてない」




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