【長編】Milk Tea



成月 Side



「じゃ、あたし戻るね」



そう言って美麗は笑った。



その返事におれは笑って手を振ったけどさ。



何を聞きたかったかぐらい分かるよ。おれにだって。



保健室に1人になったおれは、小さく溜息をついた。



渡里も佑騎も……美麗に本気だって言ってた。



あの2人があんなにも1人の女に執着したところ見るのは見た事なくて。



ずっと一緒にいたおれにもどれだけ本気かって事は分かってる。



渡里は素直だからおれに思ってる事隠さず話してくれるし、佑騎は直球だから想いをぶつける奴だ。



だからあいつ等の気持ちは分かってる。



でもさ……?



尚は違う。



思ってる事口にしないし、表情にも出さない。



ずっと一緒にいるけど、あいつだけは分からない。



多分……渡里も佑騎も、美麗の尚への想いには気付いてる。



相手の気持ち読むの普通の奴の何倍も優れてる尚だって気付いてる筈なのに……。












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