【長編】Milk Tea
また、尚の来る時間がやって来た。
いつもと変わらず尚はあたしにヘルメットを渡す。
それを被ろうとした時。
「あら……尚ったら彼女の迎えに来たの?」
後ろから声がして振り返ると、あたしは目を見開いた。
綺麗で長い茶色の髪。
身長も高くて、スタイルがいい。
見た目では尚より年上に見える。
その女の人は……あの日。
あたしが見た後ろ姿の女の人だった。
驚きのあまり体が動かない。
するとそんなあたしと裏腹に、尚はその女の人の方に近づいていく。
「お前……何でここにいるんだよ」
顔色ひとつ尚は変えずに、そう言って女の人を見つめる。
「たまたま歩いてたら尚見つけたからついて来ちゃった」
鉢合わせってやつ?
これってかなりヤバイ状況なんじゃ……。