【長編】Milk Tea
佑騎 Side
久しぶりに美麗に会って、おれは感じた。
やっぱり尚さんには敵わないんだって。
自分の情けなさが恥ずかしくて、おれはその場を立ち去りたかった。
そんなおれの目の前に……あいつが現れた。
江連那智。
尚さんを嫌う男。
鈴蘭を敵対する桜蘭の2番。
気が付くと1人中庭に倒れていて、美麗も江連もいない事に気づく。
やられた……。
美麗が誘拐された。
薬品を嗅がされたせいで麻痺した体を必死に引きずって、おれは尚さんの元に向かった。
体が思うように動かない。
すごく重く感じて、10キロ以上の重りを全身につけている感じがする。
くそ……早く伝えなきゃいけねぇのに。
動かない体に苛立っていると、おれの目の前に渡里さんが現れた。
「くっ……渡里、さん……!」