【長編】Milk Tea
尚 Side
「尚!!」
教室でボーっと過ごしていた俺に、渡里は慌てた様子で教室に入って来た。
息を切らせて俺の前で息を整えている。
「どうした」
そう聞くと、渡里は真剣な表情で言った。
「美麗ちゃんが……」
美麗?
美麗の名前が出て、俺は座っていた椅子から腰を少し上げる。
「美麗がどうした?」
「美麗ちゃんが江連にさらわれたっ……」
その言葉を聞いて俺は顔を強張らせる。
「……嘘だろ?」
「嘘じゃありません。さっき……美麗と2人で話してたら、江連が現れて。おれ、薬品嗅がされて気付いたら……」
俺の言葉に答えたのは、成月に肩を貸してもらっている佑騎だった。
すると佑騎は、俺を見て頭を提げた。
「すいませんでした!!おれがいたのに……美麗を」
掠れた声で俺に謝る佑騎。