【長編】Milk Tea



尚 Side



「尚!!」



教室でボーっと過ごしていた俺に、渡里は慌てた様子で教室に入って来た。



息を切らせて俺の前で息を整えている。



「どうした」



そう聞くと、渡里は真剣な表情で言った。



「美麗ちゃんが……」



美麗?



美麗の名前が出て、俺は座っていた椅子から腰を少し上げる。



「美麗がどうした?」



「美麗ちゃんが江連にさらわれたっ……」



その言葉を聞いて俺は顔を強張らせる。



「……嘘だろ?」



「嘘じゃありません。さっき……美麗と2人で話してたら、江連が現れて。おれ、薬品嗅がされて気付いたら……」



俺の言葉に答えたのは、成月に肩を貸してもらっている佑騎だった。



すると佑騎は、俺を見て頭を提げた。



「すいませんでした!!おれがいたのに……美麗を」



掠れた声で俺に謝る佑騎。





< 199 / 309 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop