【長編】Milk Tea
美麗 Side
あの時公園で会った凛が扉の前に立っていた。
あの時は私服だったけど、今は違う。
桜蘭高校の制服……。
「阿山……さん」
弱々しい声で江連は凛の名前を呼ぶ。
するとそんな江連を横目で見ながら凛は教室に入って来た。
そしてあたしを見つめると、少し微笑んだ気がした。
「久しぶりだな。……美麗」
一瞬戸惑いつつもあたしは笑顔を作った。
「久しぶり…」
あたしの返事に満足そうにすると、凛は倒れこんでいる江連の前にしゃがみ込んで胸座を掴んだ。
「俺の許可もなしに好き勝手してくれたな」
「……す、いません」
江連の今までとは違う腰の低さに、改めて凛が桜蘭のトップである事を実感させられた。
するとさっきの怖い表情とは変わって、優しい顔をして江連に呟いた。
「……もういいだろ?」