【長編】Milk Tea
綺麗な人……。
この人が咲さん。
「おはよ。調子はどう?」
微笑みかけるように咲さんに近づいていく渡里君。
「うん元気よ。……あれ?その子は?」
笑顔で返事を返す咲さんはあたしに気付いた。
すると渡里君はあたしを見ながら言った。
「オレの大切な人」
大切な人……。
その言葉を聞いて、あたしは複雑な気持ちになった。
すると咲さんはあたしを見つめて微笑むと口を開いた。
「そっか。名前なんていうの?」
「え……あ、櫻井美麗です」
名前を答えると、咲さんはニコッと微笑んだ。
「美麗ちゃんっていうんだ。……ねぇ?渡里。美麗ちゃんと2人で話してみたいな。ちょっと席外してくれる?」
そう咲さんが言うと、渡里君はフッと笑って黙って部屋を出て行った。
あたしは何をしたらいいのか立ち尽くしていると、咲さんはニコッと優しい顔であたしに言った。
「隣にきてよ」