【長編】Milk Tea
「え?」
渡里君が?
「楽しそうに美麗ちゃんの話してた。成月君とよく口喧嘩してるんだとか。尚君を怖がらないとか。本当に楽しそうに話してた。きっと……本当に好きなんだなって思ったんだ」
渡里君……。
何か余計な事言ってる気がする。
そう思っていると、咲さんはニコッと笑った。
そして切なそうな顔をした。
「渡里……私が歩けなくなった事に責任感じちゃって、今でもこうやって病院に来てくれる」
「咲さん?」
「私本当に渡里が好きだったの。だから前の渡里が心配でしょうがなかった」
咲さんの気持ちが、伝わってくる。
「私あの時渡里を追った事後悔してないの。でも……私が事故に巻き込まれた事で、渡里が縛られてしまった事には後悔してる」
遠くを見ながら、咲さんの目は少し潤んでいた事に気付いた。
「渡里優しいから……。私ね?歩けなくなった自分をすっごく責めたの。怪我なんてしなかったら、今頃渡里は大切な人と一緒に居れる筈なのにって」
咲さんも苦しんでたんだ。
お互いを思って。
お互いを苦しめてたんだ。
すると咲さんは優しくあたしを見つめた。