【長編】Milk Tea
「でも今日の渡里君見てて思った。本当に美麗ちゃんの事好きなんだって」
すると咲さんはあたしの手を握った。
「ねぇ?美麗ちゃん。お願い、渡里の気持ちに答えてなんて我が儘言わない。美麗ちゃんがどんな答えを出したとしても、今のまま変わらず渡里の傍に居てあげて?」
真剣な表情から。
握られている手のひらから。
痛いほどの咲さんの渡里君への想いが伝わってくる。
「うん……分かったよ」
あたしはそう言って頷くと、咲さんは満足そうに笑った。
「……ありがとう」
そう言って咲さんは涙を落とした。
「咲さん……ううん。咲ちゃん」
あたしは泣いている咲ちゃんの綺麗な髪を優しく撫でた。
ホントは咲ちゃんの気持ちは分かってる。
でも今、あたしの立場では何も言えないから。
気付いてないフリするね。
ごめんね?咲ちゃん。
でも今のあたしには、咲ちゃんを慰める言葉なんて言う権利ないから。
もうちょっと待っててね。
咲ちゃんが前に進めるように、あたしも頑張るから。