*title*未定*
少女は若いというより幼いと表される容貌で、どことなくふんわりとした雰囲気を纏っていた。年齢は10代前半だろうか。
瞼を落とし、ラジオに耳を傾けていた少女はゆっくり眼を開ける。
現れた榛色の眼を細め足元のリジーを見つめ返した。
そうして、その顔にまるで似合わないシニカルな笑みを浮かべるのだ。
「あの温室番が私を排してまで育てた“青の薔薇”か。いいだろう、出来栄えを見てやろうじゃないか。」
ニヤリ、そう表現出来そうな形に口元を作る。
何かを企む様な笑みだった。
リジーは“しまった”とは思ったものの
今更、この少女を止めることなど出来ないと知っている。知っているからこっそりと息を吐くだけに留めた。
ついでに、温室番に心の中で謝っておく。
横暴で、世界は自分を中心に回っているかの如く振る舞うこの少女、
名前はまだ無い。