*title*未定*
そうじゃなくて、と呟いてリジーはもう一度ラジオの音に耳を集中させた。
ノイズに混じり小さな声が聞こえる。
少女のような少年のような…判断のつかない声音。
「ほら、」
「聞こえない。」
「ボリュームを上げなよ。」
「…………、」
「ね?」
「…何なんだ、これ。」
【聞こえますか…
…聞こえますか
ワタシの声が
届いてますか
こちら きまぐれ放送局
きまぐれ電波で放送中
ラジオの前の暇人さん
お暇なアナタを御招待
ワタシのきまぐれお茶会に
どうぞいらして下さいな
開催日時はきまぐれに
アナタが来た日 来た時間
開催場所もきまぐれに
此処じゃない何処かで開催です
この放送が聞こえたアナタ
どうぞいらして下さいな】
「お茶会へ御招待、か。」
「胡散臭いね。」
「面白そうじゃないか?」
「まぁ、少しは…」
「“此処じゃない何処か”…ふむ、」
「行く気かい?」
「だって私は暇人だもの。」
口角を上げ笑みを作ると白いワンピースの裾を翻し椅子から立ち上がる。
ラジオをそのままに部屋へ向かって声を張った。
「支度を!」
部屋の中に居た部屋番が、慌てたような空気を纏う。