桜メモリー


――――――――………

彼に別れを告げられてから、どれぐらいの時間がたったんだろう?

まだ、頬につめたいしずくが流れてる。

胸もズキンッて痛む。


『泣いてるのかい?』

ふいに聞こえた声…。
なぜか安心して、心があたたかくなって……

白衣からにおう薬品のにおいも心地よくて、また泣いてしまった……

『グッ…泣いてません…グスン……』

わたしは、急いで頬に流れたしずくをハンカチでふいた。

『どうみても泣いてるだろ?!頬に泣いた跡がある…』

そういって男の人は、頬についてる一しずくを指ですくってくれた。

『ありがとうございます……』

そう言うと男の人は微笑んだ。


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