無慈悲な水の記憶
「祝初彼女おめでとうございますッ!!」

部室の扉を勢いよく押し開け
満面の笑みを咲斗先輩に向けて言った。

「ッ!!…あ、あぁ馨か」

一瞬驚いた顔を向けて
直ぐ様ほっとしたかのように
笑顔で微笑み返してきた。

「な、なんですか、その反応ッ
わざわざ咲斗先輩をお祝いしに
彰と来たんですよッ」

えへんっと威張り口調に言ってみる

「祝うことでもないだろッ」

「いやッ祝うのが当然ですッ
初とか今回の大会の役柄で
恋人同士ってのもあるし、
それも演劇部の紅一点の
相羽先輩とですよっ
うらやましいですもん、なッ彰」

「…僕にふらないでよ」

あからさまに呆れた口調
片手にはやっぱり本

俺すらも呆れモードに入り
彰に背をむけ
咲斗先輩のほうに向き合う

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