無慈悲な水の記憶
第二章:失った記憶

ポタ、ポタ

水と水とがぶつかり合い
雫のような物が
水面を弾いているような音が聞こえる


……ここ、は…?


見えるのは
真っ暗な黒い風景だけ。
光すらない闇の世界。

聞こえるのは
水面を弾く水の音だけ。
一定の速度で
ポタ、ポタ堕ちる水の音。


…俺…、は…?
あれッ
俺は確か、…

宵月さんと…会う約束をして
近場のバス停で…ッうっ

痛い…ッ
頭が張り裂けそうだ…ッ
う、うっ…や、止めろッ


記憶が曖昧過ぎて思い出せない
思い出そうとすると頭に物凄い激痛が走る

「…俺は…?」


記憶がない…?
いや、思い出せない…?
俺はなんでここにいる…?
俺は宵月の誕生日を祝うために
宵月と待ち合わせの駅へ向かう為
近所のバス停でバスが来るのを待っていて。
それで…


…駄目だ、何も思い出せない。

うッ…また頭痛が…ッ

唯一覚えているのは
演劇部のことだけ

…ッ、何か忘れている


水の音だけが
くっきりとよく聞こえる。





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