無慈悲な水の記憶
「咲斗先輩と相羽先輩が付き合ってる!!?」

登校直後
耳に入ってきた噂に
内心耳を疑った。


俺と同じクラスの浪矢に
無鉄砲に言い放った。

「煩い…絢凪…
今僕読書中なんだよ、
黙ってくれないかな?」


本を片手に
目線を本から外さずに言う浪矢。

「お前なぁっ
咲斗先輩の祝初彼女だぞっ
のんきに本なんて読むなーっ」


ばっと浪矢の読んでいる
本を取り上げる


「…あ」

「へへーんッ彰〜
返してほしかったら
真面目に俺の話を聞けッ」

「…てか誰も下の名前で呼んでいいなんて
いてないんだけど。」


「るっせ〜
いいだろーッ
俺とお前の仲じゃねぇーか」

「だから誰も絢凪と親しい関係になった覚えがないんですけど。」

「ぐじぐじゆーなッ
とにかく、今日咲斗先輩に祝いの報告しにいくから
彰もついてこいッ、なっ」

「…無理」

「はっ?なんでだよ」

「…読書がある」

「はい、強制的に
引きずってでも連れていくーッ」


本を高く上にあげた時
自分の手から本の感覚が消えた。



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