昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜
「…っ、ゲホォッ!!」
口に入れ立てのうどんが喉に詰まりそうになってむせこむ。
ゲホゲホと涙目になりながら咳をしとったら、風間が水を渡してくれた。
喉にしみる水が冷たい。
こうなったのも何もかもアイツのせい。
ウチが遅刻したのもむせこんだのも、っていうか宇宙の罪業は全てアイツ…かっちゃんのせいやと思う。
かっちゃんの有り余る精力に半ば無理やりつき合わされた昨晩。…ってかもう今日になるんかな。
ええか。そんでさらに最悪なのがココや。
アイツ、朝ちゃんと起きたくせにウチ起こさんと、フッツーにテレビ見とってん。
勝手にうちの棚から取った菓子パン食べながら。
つーか起こせよ!昨日1コマからあるゆうたやんけこのハゲ!!
…って言いながらあわてて準備しよったら、かっちゃんがのんびりした声で「俺ハゲてへんもん」とか言いやがるから、いっそハゲればいいと思っておもいっきし頭はたいてから学校に来た。
1コマはもう、終わりかけやった。
「大丈夫け?」
「…うん、ごめん。あんがと」
なんとかまともに飲み込めるようになった喉をさすると、ふぅと息をついた。
遅刻になったら一番高いヤツおごらせようと思ってたのに、それどころか今食べているのはいっちばん安い素うどん。
汁と麺だけ。具なしや。
慌てすぎて、家に財布を忘れてきたらしい。
ポケットの中に200円だけ入ってたから助かったけど。
風間は貸したるでーってゆうてくれたけど、基本人にお金借りるんはなんかイヤやねんな。