昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜

ちょっとしてから復活したらしい風間と、残りの時間は真面目にDVDを観て過ごした。

別に真面目な内容ちゃうけど。

結局ウチはもう一杯生茶飲んで、合計4杯もご馳走になって。


そんで帰るってなった時、時計はちょうど10時んなったとこやった。



「…もうけっこー遅いで?ホンマ大丈夫?」

「大丈夫やって!!チャリやし、マッハで漕いで帰るから!!」


ウチがチャリを漕ぐスピードはホンマ速いらしい。いっつも振り返ったら、友達おらんくなっとったりするからな。


さすがに夜はちょっと冷えて、玄関のドアに近づいただけでヒヤッとした。

スニーカーのかかとをかたっぽずつ整える。

そんなウチの背後に、ぺたぺたって風間が近づいてくる足音がした。


「…来てくれてありがとうな、今日」


素足の風間は、なんかめっちゃ無防備に見える。

何でやろ。靴と靴下履いてへんだけやのにな。


「ん。明日1コマからやんな?A棟?」

「うん、205号室」

「205な」


じゃあ、って言うてドアノブ回した。

ガチャってドアノブが回転する音。手のひらに金属の冷たい感触。


それと反対に、腕には、あったかい感触。


…振り向いたら、風間の手が、ウチの腕をつかんでた。



「風間?」

「…やっぱ送る」



風間のうつむいて照れた顔が、近くにあって。


なんか、そん時ちょっと、「あ」て思った。気づいた。


…多分。



「チャリのカギ取ってくるからちょー待っとって」

「……うん」



付き合うって、こういうのがエエんやろな。




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