昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜
「ほなウチのことカノジョにしてや」


鼻先を抜けたような、甘い声が唇から飛び出す。

答えんと見つめとったら、サヤカがちょっと唇をつき出して拗ねるみたいな顔をした。


「ずっと待っとってんモン。」

「何をな」

「まさるが空くの」

「はっ…、」


…俺はモノかなんかか。

そう言いかけて、でも口から出たのは渇いた笑いで。

俺に抱きついたまま離れる気配のないそのピンクブラウンの頭を、なだめるように撫でた。


自分に寄ってくるんは、だいたいこんなかんじの女の子が多い。

まぁ知り合うんも合コンとかやから、当たり前っちゃ当たり前かもしらんけど。


「なぁまさる〜、返事は?」

「あー…うん。考えとくわ」

「え〜!?…ほな、今日泊まりにくる?」

「ははっ、なんでそうなんねん」

「来んの?」

「………それも、考えとくわ」


ボブに切り揃えられた髪は、ツルツルしとった。

イチゴの匂いが移ったみたいで、体の中がムワっとする。



ちょっと前。


…ほんま何日か前に、さくらと別れた。


さくらは俺にしては珍しい彼女っぽい彼女で。


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