昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜
「………っ、」
重なる。
アパートの下に停められた原付と、大学で、目の前から優子を連れ去る自分以外の手。
…なんで目ぇあわせへんねん。
なんで逃げんねん。
なんで我が物顔で原付とか停めとんの。
なんでゆうんちにおるん、今。
なぁ、なんで。
…なんで勝手に、ヒトのモンなってんの。
「……はっ、」
低い笑いが、口から漏れた。
頭おかしいんちゃうかな、自分。
ゆうが何しようが、誰とくっつこうが自由やん。
勝手やんか。
俺は。
目を閉じたら、なぜかあの時の情景が浮かんだ。
暑い空気の中。
ばーちゃんちの縁側。
制服のまま寝そべる俺と、それを見下ろす制服姿のゆう。
『ははっ、形勢逆転や』
なあ、
──だってお前、俺のやんけ。