昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜
ガッシャーン───!!
ものすごい、窓ガラス割れたみたいな。
…そんな音がして。
ウチや、ない。だってカフェオレの缶はさっきゴミ箱に捨てたし、手の中に運んどる途中の荷物やってちゃんとある。
そんで、振り返って。
「───────」
散らばる段ボールの中身。
赤い線の。
散らばっとるんはガラスとか、人形みたいなやつで。
…ああ、あのめっちゃ異様に重いヤツ、ガラスケース入りの美少女フィギュアの梱包やったんかいな…とか。
そんなどうでもエエことが、頭に浮かんで。
「………かっ、」
──ちゃん。
最後の方は、声がかすれてうまく出んかった。
段ボールの横に、うつ伏せで倒れとったんは…
かっちゃん、やった。
「〜っ!!かっちゃん…!!」
ざわつく工場内。
自分の荷物を放り出してかっちゃんのとこに駆け寄る。
「かっちゃん!!かっちゃ、なぁ!!〜かっちゃんっ!!」
……え。うそ。
うそやん、なに…
………ウソやろ?
「かっちゃん!?どないしてん…っ、かっちゃ…」
「─ちょ、優子ちゃんのいて!!」