昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜
頭の中の高い声と、耳から聞こえた低い声が重なった。
耳から入った声が、徐々に現実感を増す。
「ん………?」
「ゆう」
ゆっくり目を開けたら、かっちゃんの顔が間近にあった。
…近くに、鼻のてっぺん。見つめたら寄り目になりそうなくらい。
ちょっとビックリして目を丸くするけど、かっちゃんも同じくビックリしてる顔。
「ゆう……ここ、どこ?」
「………あ…、え…と」
…寝てもてたんや。ウチ。
ベッドのふちにおでこを押し当てて寝てたらしく、おでこがジンジンする。
「…あんなぁ、病院。ごめん、かっちゃんが目ぇ覚ましたらナースコールしてって言われとったのにウチが寝てどーすんねん、やな」
「病院……?」
「…かっちゃん、バイト中に倒れたねんで。」
なんのこっちゃ、とハテナを浮かべるかっちゃんに、ちょっと苦笑いして肩を落とした。
──かっちゃんが救急車で運ばれて。
身内ってことで一緒にウチも乗ることんなって、ほんま病院に着くまで気が気じゃなかったけど。
…医師の先生に言われた言葉に、やっと安心した。
「…寝不足と疲労による衰弱、やて」