昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜
改めて見てみると、かっちゃんの顔色が良くなってきてるみたいで安心した。
かっちゃんの腕に刺さった点滴の針。
栄養剤の点滴バージョン、みたいなやつらしい。
「…ここんとこ、ちゃんと食べてなかったんやろ」
「………あー……」
「そんであんなバイトしよったらそら倒れるでな」
「…食べてないわけやないで」
「なに?」
「…ジャムパンとか……」
「〜そんなん栄養に入らんわっ!!」
「……っ、病人の耳元でおっきい声出すなや…」
「あんなぁ!?ほんま…ほんっまびっくりしたんやからなアホっ!!」
「…………」
「…だってかっちゃん、コント…みたいに、すてーん!!て…倒れる、し……っ、」
…そこまで言って、息が詰まった。
今さらになって込み上げてきた安心感と、脱力感と。
一気に押し寄せて、なんかもう、どこの器官もいっぱいいっぱいや。
「…ゆう」
ちょっとだけ、視界がぼやけた気がした。
…名前を、呼ばれた気がした。
プルルルルルル……
まどろんだ空気を割るように、ポケットから電子音が漏れる。
「……電話?」