昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜
なになになに、
何なん!?わけわからん、
「か…っ!!かっちゃんの病名はなぁ、寝不足と疲労による衰弱!てか病気ですらない───」
「行かんといて」
「…………へ?」
頭の後ろに回された手のひらに、力が入ったんがわかった。
でもわかったんはそれだけで。
…かっちゃんの瞳の黒色が、ゆらゆら揺れてる。
「旅行、行かんといて。ここおってや」
「な…に……」
「行かんといて、ゆう」
「…っ!?ん〜っ!?」
あんまりにも驚いて、身動きできんくて。
再び合わさった唇、唇っていうより、口。
かっちゃんの息が入り込んで、代わりに呼吸が奪われる。
「〜ちょ……かっち、…ふ…っ、」
待って。
待たへん。
ウチの舌と、かっちゃんの舌がそう言うてる。
なんで。
……なんでこんなん。
ぜんぶ、とられるかと思った。
肺の中の空気も、体液も、血も、全部全部。
───ああ、うわ、
…かっちゃんの口ん中、あっつい。
頭にあった手が急に背中に回って、ドサッとベッドに倒れこんだ。
「…………っは、」