昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜


「痛……、」



世間的にとおる理屈なんか、いっこもあらへん。


…俺がゆうにあげたことなんかいっぺんもない。

求めてばっかや。



カレー食いたい。

牛丼付き合って。

ノート貸して。DVD借りてって。

朝起こしにきて。目覚ましセットしといて。

今から迎えにきて。寒いからはよとばして来て。

今晩泊めて。朝飯作って。目玉焼き、半熟のやつにして。


そばにおって。

そばにおって。


…なぁ、俺のモンでおって。





「…っ、めっちゃ、痛い……っ」






結局おれは壊すことしかできんくて、無理やり手に入れようとしたってどんどんバラバラになる。


わかっとるのに、それでもあがこうとするのはなんで。





苦しい。

苦しい。

苦しい。


痛い

痛い




痛い。






なぁ、どうしたらええの。


こういう時、思い出すんお前の名前ばっかやねん。



ゆう、


ゆう、ゆう。




せやけど呼んだらよけいに、痛いし苦しいねんて。

胃とかそこらへんの場所ギューてなるねんて。




なぁ、ゆう。




今さらやろ。こんなん。




今さら要るとか、


今さら気づくとか、




今さら。







…今さら好きとか、そんなんナシやろ。







神様、仏様、地縛霊様。





「…………アホか…っ…」






…お願いやから、俺からゆうをとらんといて。


























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