昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜

優子の声はちょっと震えてて。けどそれを悟られんようにて思たんか、無理やり強がった声になってて。


「…思い上がりかもしれんけど、風間のことめっちゃ傷つけた。…ウチ、ほんま自分のこと嫌いや。殴り倒したいくらい、やのに、」


──傷ついてないよって、


「やのに風間は、いっつもそれでもええって言うてくれるやろ。許してくれるやろ。…笑ってくれるやろ?」


──こんなんで弱ってなんかないよって、言えへんのは。


「風間がなんでこんなんがええんかわからんけど。ウチは、」



──優子が、



「…ウチは風間を大事にしたいって思うよ。今さらやけど」

「………」

「……ウチにも…大事にさせてや、風間」

「…………っ──」



──かっこつけも、強がりも、取り繕っとるもの全部、わかってくれてまうから。



「〜うん!!これで言いたいこと全部や!…あースッキリした!!ずーっとモヤモヤしとってん!!」


俺の下で、ニカッて歯ぁ見せた笑顔がはじける。

それがめっちゃ切なくて、手持ちぶさたな両手がうずく。



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