昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜
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「おっす」


ドスっ、と鈍い音。

それが自分の後頭部から発された音やと気づいたんは、後からジンジンと響く痛みを感じてからやった。


振り向いたら、無駄に爽やかな笑みを浮かべた風間。

どうやら後頭部を直撃したんは、風間のカバンやったらしい。


「朝っぱらから殺す気か…」

「はは、優子すでに死んでたやん。なに、昨日飲み会でもしてたん?」


顔ヤバいで、とウチの顔を覗き込む。


大学の講義、1コマ目。

広い講義室。いつの間にか定位置になっていた左斜め、後ろから二番目。

隣によっこいしょ、と腰掛けた風間は、耳にはめていたイヤホンを抜いてぐるぐる巻きにしてる。


「…飲みちゃう。レポート、今日締め切りやったやろ…」

「…ああ!!それ、俺先週提出したわ!!」

「………」

「うーわ、目!クマすごいで」


苦笑いして、ウチの目の下を指でなぞる風間。

クマとはかけ離れた清々しい顔が憎い。


風間は見た目とは違って、学部の中でも優等生組に入る。

徹夜で提出期限ギリギリ、なんてことはないわけや。


そもそもウチやって、レポート三日前くらいから始めようと思ててん。

けどそう意気込んだばっかりのその日の夜中に、かっちゃんが「ドラクエするで〜」とかゆうて、友達に借りてきたヤツをウチの部屋でし始めたから、つい…


一回始めたらエエとこまでいかんとやめられへんのが人間の性ってもんや。


「あ、せや!!優子今度の日曜ヒマ?」

「…日曜?」

「工学の友達に合コン組んで〜て言われとるねんけど、こおへん?」


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