昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜
強く抱き締められたあの日。
はじめて風間に、壊れそうなくらい強く。
風間の腕は少し震えてて、そんでめっちゃあったかかった。
あのあったかさが無かったら、きっとウチは壊れてた。
「やり直し。…せやから、俺に悪いとか思わんでええねん。今まで付き合った情とか、そんなん全部抜きにして考えてええねん」
「………」
「俺と付き合って。…まさこ」
風間の声が優しい。
どこに触れても、隅から隅まで風間は優しい。
とがってるとこなんかなくて、ぜんぶでウチを、許してくれるから。
「優子言うたよな。いとこ同士で気持ち悪いとか、おかしい、とか。…けど、そんなん関係ない、俺は」
「…………っ、」
「俺は、優子が好きや」
かざま。
いつだって手を握ってくれた。
いつだって、ウチを一番に考えてくれた。
涙腺はとっくに崩壊して、雪崩みたいに涙が出た。
好きや。
ウチは何回、この言葉をもらったんやろう。
そんで何回いい損ねたんやろ。
こんなに幸せをもろてるのに、こんなに傷つけても、まだ笑ってくれるのに。