昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜
傷つけるつもりなんかないし嘘つくつもりもさらさらない。
でも、そんなん上っ面の綺麗事。
──だってまだ、かっちゃんが心ん中におる。
「…ごめ………っ」
風間。
ごめんな。
「ごめん…っ、」
「うん」
「かざま…っ、ごめ、ん」
「うん」
「ごめんな…………っ」
何度も何度もアホみたいにおんなじ言葉を吐いて。
何度も何度も鼻をすすって、泣くのをこらえて。
けど風間がむぎゅーって。泣き笑いながらウチの頬を両方からつまむから、我慢できんでボロボロ泣いてしもた。
ごめん、て言えんくなった、タコみたいになった口のままで。
「ひょめん…っ」
「…ははっ、言えてへんて」
風間。なんでそんな優しいん。なんでそんな優しくできんの。優しさのカタマリみたいなんでおれんの。バファリンに勝つで、風間。
あかんでそんなん。騙されんで?将来変なツボとか買わされんで?
なぁ、こんな勝手なん。
許さんでええんやで?
「風間……っ、」
「ん?」
「〜っう、ウチを殴れっ!気が済むまで!!」
本気でそう言うたのに、風間は目を丸くした後ふきだして笑った。
「……ふはっ、どこまで男前やねん!!…優子はもう、ほんまに……」