昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜
合、コン。
風間の誘いに、ひとつ返事で首を振る。
その勢いにビックリしたんか、風間は目をまん丸くした。
「えっ、珍し!!優子いっつもそういうの苦手や〜って断るやん?」
「気が変わってん!!行く、行かせていただきます!!」
ふうん、て、いまだに不思議そうな顔をする風間。
カバンから携帯を取り出すと、なにやらポチポチメールを打ち出した。
自分から誘っといて、なーんや納得のいってない顔。…ウチが行くのがそんなに意外ですか、そうですか。
「ほな向こうにも伝えとくわ。ゆうとくけど俺もあんま合コンとか…しかも幹事頼まれたことないからうまくやれるか微妙なんやけどなぁ」
「へぇ?風間あんま行かへんのや?なんか慣れとるイメージやったわ」
「えー?俺、実は女の子苦手なピュアっ子やから」
「キモイこと言うな」
風間から聞いたことあるけど、風間は上に三人もお姉ちゃんがおるらしい。
そのせいか女の子の扱いはスムーズっていうか、学部の子とも仲良くやれとる。
だいぶ前には彼女おったけど、その子と別れてからは話聞かへん。
ウチの勝手な予想では、風間はその子のこと引きずっとるんちゃうかなぁ。
女の子苦手なピュアっ子ってゆうのは嘘やけど、風間は恋愛に関してはめっちゃ一途なとこあるから。
ウチも携帯を取り出して、スケジュールを開く。
そんで日曜日のとこに、『決戦』って書き込んだ。
教授の先生が眠そうな顔して教壇に上がる。
今にもポックリいきそうなほど覇気がない顔。どんだけやる気ないねん。
まだざわつきが収まらない講義室。
頬杖をついて、灰色の雲に覆われた空をぼうっと眺めた。
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