昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜
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「…深夜のマクドてけっこうすいとるんやなぁ」


抱えられたトレーには、深夜にそぐわないボリュームの品々がのっかっとった。

ハンバーガー3つ、ポテトのLサイズ、アップルパイらしきもの、ジュース。

俺の視線に気づいたのか、まさるくんは「晩ごはん食べてないねん」って言うてニカッと笑った。

…まぁ俺も大食いな方やから、晩ごはんバイト先のまかないでしっかり食べたにも関わらずがっつりセットとか頼んどるけどな。


バイト先に優子が来てくれた、バイト終わりのPM11時。そのあと偶然まさるくんに会ったAM1時。

そんで今、AM2時。ひとつの机をはさんで、正面同士で座っとる。


こんな時間にマクドとか、人生で初めての経験やった。まさるくんはさっそくハンバーガーの包み紙開いて食べ始めとる。


…どこか真剣味に欠けるんは、目の前の映像とポテトの匂いと、平和すぎるBGMのせいやろか。


高校生くらいの集団がワヤワヤ騒いでる他には、客は俺ら以外に見当たらんかった。


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