昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜
ジュースのストローをくわえながら、心臓に呼び掛ける。落ち着け。落ち着け。
正直、まさるくんに会うなんて思てもみんかった。優子がバイト先に来てくれることすら予想外やってんから。
──話がある。
やから、そう言うて呼び止めたんは、とっさの判断で。
一回腹わって話せなアカンと思た。やないといつまでたっても胸の内がすっきりせえへん。
まさるくんは素直にそれに応じて。なんでか今マクドの席一緒に囲むことになっとるけども。
話がある。
…まさるくんかて、さすがになんの話かわかっとるはず。
旅行から帰ってった日以来やった。
優子んちではち会わせて殴ってもうたそれ以来、まさるくんには会うてへんかった。
「うぇっ!?ほんでどないしたん!?」
「ほんでな〜っ!マサシが送ってくれるってゆうからぁ〜」
黙々とマクドのセットに挑む男子大学生二人。
向こうの高校生らの会話が余計に大きく聞こえる。
…誰やねんマサシ。知らんけど。どうでもええけど、ポテトの味とかびっくりするぐらい感じへん。
誰とでも気兼ねなく話せる方やけど、まさるくんの前ではいきなり海外に置き去りにされたみたいに、まともな言葉が浮かんでこんかった。