昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜
流れるわけでも、薄れるわけでもない。

ただそこに厚く留まって、まるでウチらを閉じ込めるみたいな雲。


…合コンに行くってゆうたんは、別に早く彼氏が欲しいからとか、そんなんやない。


理由は単純、かっちゃんに言われた一言や。



「…お前、ほんま色気ないなぁ」


最近ウチの部屋に入り浸りやがってるかっちゃん。

例に漏れず、一昨日も夜遅くに侵入しやがった。ちゃっかり、ドラクエのソフト持って。

そんでウチの顔マジマジ見てきた、て思たらこの一言や。


…色気ないって。


プチーン!て脳みその血管千切れたか思たわ。

だってレポートせなヤバいねんっていうウチの部屋に押しかけてきて、ドラクエ大音量で始めやがって。

我慢できんでウチもドラクエに参戦してしもて、その10分後、「…飽きたわ」とかゆうてその場でいきなり人を押し倒しといて。


で、「色気ない」発言ってどういうことやねん。切り刻んだろか、まな板の上で。


ウチが殴ろうとしたらかっちゃんは慌てて後ずさりして、


「だってゆう、ヤッとる時全然声出さんやん」

「〜はぁぁ!?」

「自分でゆうのもなんやけど、俺うまいで?だって他の女の子みんな、「こんなの初めて!」って──」
「黙れ。そして潔く死んでくれ。」


顔真っ赤にして言い放った。

なんでアンタのそんな事情聞かなあかんの。なんかの罰ゲームかこれは。

…っていうかアンアンゆうとる自分なんか考えたくもない。想像できへん、気持ち悪いやんけ!!


ハァハァと一人息を荒げるウチとは反対に、かっちゃんは余裕タップリの涼しい表情で言った。


「ゆう、他の男んトキもそんなんなん?」

「は……、」


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