昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜

恨み辛みこめてかっちゃんを睨み付けながら、帯と悪戦苦闘しとったら。



「…しゃーないなぁ」



大げさなため息ついて、かっちゃんがよっこらせって立ち上がった。

無駄にデカイ図体。その成長分、体ばっかにいかんと脳ミソにいったら良かったのに。


「…なにがよ」


…しゃーないなぁ、てなに。何様や。
かっちゃんがウチの目の前にきて、楽しくてしかたないみたいな偉そうな顔で笑う。


「しゃーないからサービスしたるわ」

「やからなにがしゃーない……っ」

「ん」



かっちゃんが背中を向けてその場にかがんだ。


一体なにをしとるんか、さっぱりわからんかった。



「……え?」

「乗らへんの」

「乗……っ、え、は!?」

「おんぶしたる〜ゆうとるんやんけ。ハイ、もうサービスタイム終わんで〜。さーん、にー、いーち……」

「〜乗るっ!!乗るからっ!!」


あわててつかまったら、ヒョイと持ち上げられた。

高くなる視線。かっちゃんに背負われた体。

かっちゃんの背中に隠れて、ちょうど浴衣のごちゃついた部分がごまかされる。ひっついとる面積が広くて、一体化したみたいや。



…かっちゃんの体、あっついなぁ。




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