昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜

上から降ってきたのは、呆れた風間の声。

ごもっともなご意見や。なんも言い返せへん。


あたしがフラフラとテーブルを離れたあと、具合が悪いのを察したのか風間はすぐに様子を見に来てくれた。


背中をさすってくれる風間。

その手があったかくてちょっとホッとする。

人の手の力ってすごいもんや。


「うー……わ…」


何度もぶり返す吐き気が一瞬引いたかと思ったら、次は頭にきた。

貧血。世界がぐわんぐわん回る。


「優子?大丈夫か」

「あ…かん、かも…ごめん、風間」

「…ちょっと待っとけな」


風間はそう言うと、ウチを残して慌ただしく出て行く。

残されたウチは、一人頭をうなだれながら自己嫌悪に陥っていた。


ホンマ、ウチ今日何しにきたんやろ…。


そもそもの原因は、かっちゃんがムカつくことゆうてったから。

ウチの不運には全部かっちゃんが起因しとる。


顔を上げて鏡を睨みつける。

映っている自分の顔は青白くって、不細工すぎてとてもじゃないけど笑えへん。


しょっちゅう深夜にうちに来とったかっちゃんが、来んくなって何日目か。


せいせいする、せいせいする、せいせいする。頭ン中で何回も唱える。だって、


寂しい、とか。


違うやん。そんなんは思ったらアカン気がして。


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