昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜

そんなにゆっくりはしてなかったはずやのに、外に出てみたらもう夕暮れやった。

何を急いどんかっていうくらい早く太陽が沈んでいく。


風間のふわふわした髪がオレンジと黒の中間、くらいに染まる。


「…あ」

「どしたん?」


ふと、今朝同じ学部の友達とした話を思い出した。


「そういえばなぁ、友達に風間とつきおうてんの〜?て聞かれたわ」


風間が目をまん丸くして足を止める。


前からやけど、最近は授業も一緒に受けたりしとるから。

ウチみたいなオトコオンナでも、誤解が生まれるんはしょうがないんかもしらん。


「…なんて答えたん?」

「へ?そんなわけないやんかってゆうたで」

「………ふぅん」


なんかわからんけど、いきなりちょっと不機嫌になった風間氏。

風間はいっつもニコニコしとるし、めったにムッとした表情をすることはないのに。


…めずらし。

少し早足になった風間に合わせながら、チラッと風間の顔を見てみた。


「あ〜…、風間?」

「…ん?」

「夕飯どっか寄ってこかぁゆうとったけどさぁ。うちで食べてってもええよ?」


昨日作りすぎたカレーがあったんや。

早く食べな部屋がカレー臭くなってまう。染み付いてまう。


いっつもやったら、かっちゃんにおすそ分けに行くねんけど…っていうか「作った」って言おうモンなら全部勝手に食い尽くしてくるんやけどな、ヤツが。


かっちゃんのことを。

その…好き、や、て自覚してしまってから。


なんか今までみたいにできんくなったっていうか。恥ずかしいのと悔しいのと、それと。


…防御線。


近づいたら多分、しんどいのは自分やから。


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