昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜

そしたら風間はまたニッコーってした顔に戻って、


「ええん!?」


て、飛びつく勢いでノってきた。

ちょっと大型犬みたいに見えて笑ってしまう。

風間は大人っぽい時とそうでない時の差が極端や。


「ええけど…残りモンのカレーやで?」

「好きやで!!あのドロッてした感!!」

「ゆうとくけどうちのカレー、辛口やで?」

「…ソース入れたら甘なる!!」


…そうや。忘れとったけど、風間は辛いモンだけはちょっと苦手や。


そんなこんなでじゃあちょっと晩酌しようってなってコンビニでおつまみとお酒買い込んで、アパートに帰って。

シーフードカレーもいいけどやっぱ煮込んだ肉は別格やなぁ、ジャガイモはでっかめでホクホクしとかんとジャガイモじゃないわぁ、とかどうでもいいカレー話して。

明日の講義誰から当たるっけなぁ、っていう話をしてる途中に。



…何の因縁か、かっちゃんカップルと階段とこでバッタリ遭遇した。



「………」

「………」


…もうなぁ。


びっくりや。何の嫌がらせですか〜、や。

これはなんや、ばあちゃんの呪いか。最近帰らへん、顔すら見せへん薄情な孫たちに対する。

でもばあちゃんまだ生きとるから、そしたら生き霊になるんやろか…。


「"ゆう"、ちゃん!?」


頭ン中で現実逃避してたら、いきなり名指しされて思わず姿勢を正した。

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