昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜
慌てて横に首を振った。


「…あ、ううん。別になんでもないねん!…あとな、」

「?」

「ウチの名前…ゆうこじゃなくてな。ホンマはまさこやねん」

「ええ!?そうなん〜!?まさるくんがゆうって、呼びよったから…」

「…うん、あ〜ホラ。まさるとまさこって微妙に被るやんか。やからお互いに音読み?っていうか…」


めんどくさい説明をウダウダしてたら、さくらちゃんはニコッてウチの手をつかんで、


「じゃあまーちゃんって呼ぶな!」


って言ってくれた。やっぱり可愛い。


別に。わざわざ訂正せんでも、ゆうちゃんのままでも、よかってんけど。

なんか。


なんか…かっちゃん以外に"ゆう"って呼ばれんのは、嫌やってん。


…って今寒気した!!なに自分乙女みたいなこと言いよんの!キモい!!



それから数時間四人で飲んで、騒いで。

さくらちゃんが明日早いからって帰るんをキッカケに解散することになった。

ちょっとホッとしとる自分がおって。

…てっきりかっちゃんちに泊まってくんやと思てたから。そんな自分がうっとおしくて嫌になる。


なんでか知らんけどさくらちゃんはめっちゃウチのことを気に入ってくれたみたいで、帰り際「また遊ぼうな〜」ってニコニコしながらゆうてた。


アパートから二人を見送ってから、かっちゃんに


「…彼女ええ子やね」


って言うたら、かっちゃんはニヤッて笑って、


「めっちゃ可愛いやろ」


ってゆうた。




部屋帰ってから、ちょっと泣きそうんなった。



203号室は、めっちゃカレー臭かった。















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