昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜
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「おっきいお寺やぁ〜!!なっ、写真撮ろ、写真〜!!」
「え、ちょー団子食いたくない!?」
「待てや、先メシやろ昼飯。カレー食いたいわ」
「…みんな自由に発言するのやめてくれへんかな…」
場所は京都。
桜開花前というこの微妙な時期に、車を飛ばしてやってきた四人組。
なかば強引に連れられてきた、一泊二日温泉旅行のハジマリハジマリ、や。
…うん。始まったばっかやのにこの疲れ具合は一体なに。
小学生の引率の先生させられとる気分なんやけど。
真冬は過ぎたとは言え、三月の京都はまだ空気がひんやりしていた。
スン、て鼻をすする。鼻先を撫でる風が冷たい。
結局断りきれんくて参加することになってしもた旅行。
運転席はかっちゃん。
…絶対彼女にイイとこ見せようとしとるねん。運転する男は三割り増しでカッコいいて言いますしね。
助手席はもちろんさくらちゃん。
後部座席、右にテンションの低いウチ。
その左は、訳わからん旅行に巻き添えくってる風間くんや。
ゆらり揺られて京都に着いたんは、ちょうどお昼時やった。
「見て見てっ!まさるくん!!」
「さくら、そんな走ったら転ぶで」
さくらちゃんが嬉しそうに、可愛い顔で笑ってかっちゃんの手を引く。
微笑み返したかっちゃんの顔は優しくて。
なんか、ジェントルマンってかんじで。それはウチには絶対せえへん笑顔やなって思った。
そんで自分、ちょっと傷ついてるし。アホちゃうか。
…こういうちっちゃいことで、胸がチクチクする。
なっかなか糸がとおらへん、裁縫で使う針でつつかれてるみたいに。
風間にも気づかれんように、コッソリため息ついた。
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「おっきいお寺やぁ〜!!なっ、写真撮ろ、写真〜!!」
「え、ちょー団子食いたくない!?」
「待てや、先メシやろ昼飯。カレー食いたいわ」
「…みんな自由に発言するのやめてくれへんかな…」
場所は京都。
桜開花前というこの微妙な時期に、車を飛ばしてやってきた四人組。
なかば強引に連れられてきた、一泊二日温泉旅行のハジマリハジマリ、や。
…うん。始まったばっかやのにこの疲れ具合は一体なに。
小学生の引率の先生させられとる気分なんやけど。
真冬は過ぎたとは言え、三月の京都はまだ空気がひんやりしていた。
スン、て鼻をすする。鼻先を撫でる風が冷たい。
結局断りきれんくて参加することになってしもた旅行。
運転席はかっちゃん。
…絶対彼女にイイとこ見せようとしとるねん。運転する男は三割り増しでカッコいいて言いますしね。
助手席はもちろんさくらちゃん。
後部座席、右にテンションの低いウチ。
その左は、訳わからん旅行に巻き添えくってる風間くんや。
ゆらり揺られて京都に着いたんは、ちょうどお昼時やった。
「見て見てっ!まさるくん!!」
「さくら、そんな走ったら転ぶで」
さくらちゃんが嬉しそうに、可愛い顔で笑ってかっちゃんの手を引く。
微笑み返したかっちゃんの顔は優しくて。
なんか、ジェントルマンってかんじで。それはウチには絶対せえへん笑顔やなって思った。
そんで自分、ちょっと傷ついてるし。アホちゃうか。
…こういうちっちゃいことで、胸がチクチクする。
なっかなか糸がとおらへん、裁縫で使う針でつつかれてるみたいに。
風間にも気づかれんように、コッソリため息ついた。
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