昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜
…やっぱりばあちゃんが倒れたでもなんでもゆうて、来んかったらよかった。
あ、でもばあちゃんネタはアカンわ。ウチのばあちゃんはかっちゃんのばあちゃんやもん。嘘がバレる。
かっちゃんカップルと旅行なんて、自分から傷つきに来たようなモンや。
ウチ、もしかしてマゾやったんやろか。何でやねん。…自分でツッコんでしもたわ。
「優子」
「むぐっ!?」
いきなり唇にヌルッとしたもんくっつけられて変な声が出た。
…甘い。みたらし団子や。
「京都と言えば団子やろ」
「…いつの間に買うてきててん…」
両手に二本ずつ持ち幸せそうに頬張りながら、風間はニッコリ笑う。
団子四本て。大食漢っぷりは相変わらずらしい。
『…俺はええけど…優子は大丈夫なん?』
旅行のお誘いの話を出したとき、風間は心配そうに眉を下げて、そう聞いてくれた。
気を使わせたり迷惑かけたりしとるのに、嫌な顔ひとつせんでウチの心配してくれる。
風間はやっぱり、エエヤツやと思う。
…団子、甘いわ。
「まーちゃーんっ!!」
自嘲気味、かつマゾチスト疑いのウチに、さくらちゃんが大きく手を振る。
満面の笑み。やっぱり可愛い。
「こっち!一緒に写真撮ろ〜!!」
ほんま、可愛い子って声まで可愛らしいねんなぁ…。
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