昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜

…やっぱりばあちゃんが倒れたでもなんでもゆうて、来んかったらよかった。

あ、でもばあちゃんネタはアカンわ。ウチのばあちゃんはかっちゃんのばあちゃんやもん。嘘がバレる。


かっちゃんカップルと旅行なんて、自分から傷つきに来たようなモンや。

ウチ、もしかしてマゾやったんやろか。何でやねん。…自分でツッコんでしもたわ。


「優子」

「むぐっ!?」


いきなり唇にヌルッとしたもんくっつけられて変な声が出た。

…甘い。みたらし団子や。


「京都と言えば団子やろ」

「…いつの間に買うてきててん…」


両手に二本ずつ持ち幸せそうに頬張りながら、風間はニッコリ笑う。

団子四本て。大食漢っぷりは相変わらずらしい。




『…俺はええけど…優子は大丈夫なん?』


旅行のお誘いの話を出したとき、風間は心配そうに眉を下げて、そう聞いてくれた。

気を使わせたり迷惑かけたりしとるのに、嫌な顔ひとつせんでウチの心配してくれる。

風間はやっぱり、エエヤツやと思う。


…団子、甘いわ。


「まーちゃーんっ!!」


自嘲気味、かつマゾチスト疑いのウチに、さくらちゃんが大きく手を振る。

満面の笑み。やっぱり可愛い。


「こっち!一緒に写真撮ろ〜!!」


ほんま、可愛い子って声まで可愛らしいねんなぁ…。


.
< 64 / 367 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop