昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜
いいとも〜…てお前はタモさんか。いや、ちゃうな。タモさんは「明日来てくれるかな?」の方やんな。いいとも!!はゲストのセリフや。


…うん、ほんまどうでもええ。


でもなんかもうテンパりすぎて、なんか考えずにはおれんかった。すごい勢いでカレーをかき込む。

そんな俺を、優子は呆然とした顔で見てた。


「…あの…風間、」


そんで優子らしくない心細そうな声で、眉間にシワを寄せて言う。


「あの…大丈夫?今日4月1日ちゃうで?」

「〜知っとるわ!!」


…誰がエイプリルフールやと勘違いして告白するねん。

どこにそんなマヌケな嘘つく奴おんねん。


俺に恋愛対象として好かれるってゆうこと。


…優子ん中では、それくらい有り得へんかったことらしい。


一気にさらえて空になったカレー皿に、スプーンを置く。

カチン、とセトモノと金属が触れ合う音がして、指先が震えた。


「……いつ、から…?」


そんで優子の声も、ちょっと震えとった。


「…わからん。けど結構前から……」

「……そ、そうなんや…」

「…うん」

「………」

「………」

「…………」

「…………」


そして続く沈黙。


「………」

「………」

「…………」

「…………」

「………かざ、」
「あーっ!!うわ、待って。もうホンマごめん!!」


優子の声を慌てて制止する。

そんでそのまま立ち上がって、床に放置してあったリュックを掴んだ。


無駄に重いリュック。

携帯と財布くらいしか入ってへんはずやのに。


「…ごめん、出直すわ。別に今日言うつもりやなかってん」


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