涙にKISSして
ネクタイをしっかり結び
ブレザーを羽織る。
シャワーを浴びたからセミロングの髪も輝いている。
「お母さん!行ってくるね」
「玲くんのおみやげ待ってるわ」
…新しい門出に向かう愛娘に言う一言が、ソレですかっ!
もう少し、気のきいた言葉がほしいよ…。
――…もうしばらくは会えないのだから。
「これ…優菜が辛くなったとき、悩んだ時に読みなさい」
そう言ってお父さんは封筒を私に手渡した。
「ありがとう。お父さん」
泣かないように目に力をいれてニッコリ笑う。
「もう時間だから行きなさい」
そのお父さんの声と同時にあたしは家を出た。