狐憑きの夜～始まりなる終わり編～
　そんな彼女であるが、実はかなりの策略家で、努力家でもある。

　学校ではブリっ子だが、家に帰ると次の日の授業の用意をし、この年齢の多くを本来なら遊びに費やすのが普通なのに、生徒達のために恋愛なんかそっちのけで、授業の仕方を日々研究している。それだけに、彼女の教育に対する熱意は実は伊達ではない。

　しかし、その思いは騒いでいる生徒達には届くことなく、虚しく教室の騒音の中にただの声として消えていった。その状況にしばし彼女は硬直するしかなかった。ちなみに、この間、彼女の頭の中では次のような作業が行われていた。

　教師らしく元気良く挨拶をして教室に入る（実行済み）
　　　　　　　　　　　　　↓
　生徒達の反応がなく、明らかに自分は空回りしている（現在）
　　　　　　　　　　　　　↓
　気付いてもらうため、今度はやや怒り目で挨拶をしたい（欲求）
　　　　　　　　　　　　　↓
　しかし、今日は転校生がいるので、それだとマズい･･･（予測）
　　　　　　　　　　　　　↓
　おまけに、自分は今まで先生方にブリっ子キャラを通している（事実）
　　　　　　　　　　　　　↓
　と、なると自分が取るべき選択肢はＤである（結果論）

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表紙・目次

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