狐憑きの夜~始まりなる終わり編~
 やがて、その一通りの作業が終わると、涙は騒ぐ生徒たちを一望し、大きな声でわざとらしく言い放った。

「あ~あ、ルイ先生から皆に大切なお話があるのにな~。超美少女の転校生が来てるのに」

 涙がこう言うと、先程まで馬鹿話をしていたはずの男子達が黙り、ルイの話に耳を傾ける。

(ふっ、所詮は男、ちょろいわね・・・残るは女子のみ!)

 やや微笑をすると、今度は女子を横目に見ながら言った。

「あ~あ、先生のお話も静かに聞けないような女子達ばっかりだと、男子達が転校生のトリコになっちゃうかも~。先生、心配だわ~。そう、気になるあの少年も、告白したら『ごめん、この前来た転校生いるだろ?俺、アイツに惚れててさ。野性的な女は好みじゃないんだ』とか言って断っちゃうんだろうな~。先生、悲しいわ~」

 その一言に、女子たちの耳がピクリと動いた。
 それを見て、涙はまた微笑を浮かべる。

(やっぱり女子はプライドが高いから、扱いやすいわ~)

 涙の思いを知ってか知らずか、女子たちはさっさと自分の席についてムスッと黙り込む。
 それを確認すると、涙はにこやかに言った。

「わ~い。皆ありがとう♪先生嬉しいわ~。さて、それじゃあそろそろ入ってもらおうかしら?転入生、入って来て!」
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