北千住奇想曲
彼女が頻繁に話掛けてくるようにはなったが、それでもぼくは彼女の人間関係におけるたった一パーツでしかなかった。
谷沢藍の人間関係というのは、人まみれで傍から見るともう相関関係も対立関係も親戚関係もさっぱりわからないくらいごっちゃになっていた。

とは言え、ぼくも男だもの。
当時から彼女の男関係が気になっていた。

しかし、オープン気味なイメージの彼女にあって、これだけが謎だった。
それっぽい感じの男が周囲に寄ってはきた、頻繁に。
迷惑なくらいに。
でも、彼女としてはそれは単なるの友人関係であってそれ以上ではないとはっきりと名言していた。

それがなんというか、男がかわいそうなくらいに普通に言葉に発するので、正直、言われる男のびっくりする顔が面白かった。

あくまで彼女は学校では彼氏の存在を匂わすようなことはなかった。
ただし、谷沢藍を知る人間であればあるほどに彼女には彼氏が存在するはずだ、いないわけないがないと唱える人々が多かったのも事実だ。
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