北千住奇想曲
昔の事をあれやこれや思い出しながら回想に耽っていたのが谷沢藍には疲れて眠いように受け取られたようだった。
「ねぇ、ごめんね。こんな話ツマンナイよね」
「いやいや、昔の事を思い出してただけ」
「昔って?」
怪訝そうな顔でじっとぼくの目を見る。
ヤバイよ、その目は。
「あれだよ同窓会やったろ、あの時の事とか・・・」
「あっ」
少し気まずそうに目を伏せる彼女。
「なんつーかさ。あの頃は想像もできなかったお金とか将来とかそういうので色々とリアルに苦悩している谷沢にただ驚いているだけだ」
「うん。自分でもそうかな、言われてみれば」
「なんでも聞いていいんだよな。じゃあ、今の事もあの同窓会の時の話も遠慮なく聞くよ」
いいよね。プライバシーに土足で踏み込むことを了承しているわけだしね。