北千住奇想曲
しかし、彼女は大真面目らしい。

「出来るだけ早く実家は出たいって思ってたんだ。マコトさんと付き合ってから、すぐに同棲を始めたのも正直それがあるから。先を見据えてね」

マコトってのが例のコワモテ彼氏か。
なんか、でも、違和感満載だなこの話。
高校時代の谷沢藍とうまくリンクしないっていうか。

まあ、友達未満だった自分が彼女について見ていたのは表面だけってことかもしれない。
こっちがもともとのパーソナリティかもしれない。

谷沢藍は勢いに乗って続ける。

「結婚相手となると好きだけの問題じゃないでしょ。幸せを継続させるには現実もみないと。それでマコトさんと約束したの」
ようやく本筋に戻った。

「で、なんの約束?」

「一つは私が22になるまで付き合うつもりならそのまま結婚する事」

「・・・へ、へぇー」

「引かないで!つまりね、結婚する気が湧いてこないなら別れようってことなの 」

「早く結婚してハッピーになる為には寄り道はできない、と」

「うわ、その発言悪意有りすぎだよ、ヤマダくん。まあ確かにそう言われても反論できないけどさ」
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